もう30年くらい前になるでしょうか?会社の同期から、これは読むべきだよと勧められたのがロバート・B・バーカーの「初秋」でした。

スペンサーという私立探偵が、対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざしてしまった少年を、家を建てたり、ボクシングの練習をさせる事で一人前の「男」に育てていくという物語です。
このスペンサーというのが、自分にとっての「正義」とは、「男」とは、という部分に非常にこだわりがあり、それが犯人、依頼人、はたまた警察を困惑、混乱させながらも自分流を貫いて、最後は解決してしまうという話です。こう書くとすごく軽い物語に聞こえますが(自分の文才を呪います(>_<) 、気のきいた会話とか、事件解決へのストーリーとか一級のハードボイルド作品に間違いありません。
ちなみに「初秋」というタイトルはストーリーの最後に自立した青年になったポール・ジャコミン、彼が一人でこれから立ち向かっていかなければいけない人生、それを前にした今の時期が彼にとって「初秋」であるという所から来ています。
悲しいことに作者のロバート・B・パーカーは2010年の1月に無くなっています。